こんにちは、Sprung ハク(金)です。

7月に入ってからもずっとどんよりした空模様が続いきましたが、やっと梅雨明けが近づいてきましたね。梅雨が明けて本格的な夏が始まると、塗装のお仕事も一段と厳しくなるので、まだ快適に塗装できる気候の内に、大きいお仕事は全て片付けておきたいと思う今日この頃です。

 

さて、今日ご紹介する事例はゴルフ7 Rの純正フロントキャリパーのボディ同色塗装です。

この記事では上塗り塗料の材料等について少し詳しく書いてみようと思いますので、塗装にご興味のある方は参考にしていただければ幸いです。

塗装の下準備

お客様から送っていただいたキャリパーですが、現車から取り外した部品ですので、走行中についた汚れはもちろん、ブレーキフルードやグリス、大量のブレーキダストがこびり付いています。

このまま塗装する訳にはいきませんので、構成部品を分解し、徹底的に洗浄します。

パーツクリーナーで拭き取る程度では汚れは殆ど落ちないので、最終的にはサンドブラストで研磨し、足付けを兼ねて強固な汚れを落とします。

また、純正キャリパーは鋳型で整形した物をそのまま塗装してありますので、表面に大きい凹凸が付いています。今回塗装する色は車体色のラピスブルーメタリッ 。 メタリックの質感が映えるよう表側の面を平らに均します。

ベルトサンダーで大きいシボを削り落としてから、各種サンダーと手砥ぎでペーパーの番手を上げながら下地を整えた後、固定用ボルトやパッドの座面、ピストンシール等をマスキングして塗装ブースに移ります。

実際、ここまでの手順がとても長く地道な道のりで、キャリパー塗装工程の大半の時間は塗装の下準に使っていることになります。

いよいよ塗装工程です。

シボを削り落とす過程で金属の下地が露出している部分が多いので、全体にウォッシュプライマー(エッチングプライマー)を塗布し、塗料と強力な密着力を発揮する酸化被膜を作った後、サフェーサーを厚めに塗り重ねます。

画像は一晩掛けて強制乾燥させたサフェーサーを中砥ぎした状態です。

これで下塗りが完了し、上塗り工程に移ります。上塗りは一般的に色を付けるカラーベースとクリヤーコートのことを指します。

上塗り工程

続いて、調色したラピスブルーの塗料を塗布していきます。上塗りに使用した塗料はCromax(旧Dupont)のセンタリ、1液タイプの2Kシステムの塗料です。

キャリパーのような立体的なパーツは上下左右裏表と、様々な角度から塗料を吹き付ける必要がありますが、写真に写っている3M社のPPSという塗料カップシステムとセンターカップ式のスプレーガンを組み合わせると、どの向きからでも問題なくスプレーできるようになりますので、とても効率よく綺麗に塗れます。

通常の重力式塗料カップはカップの蓋に空気が入る穴が空いていて、カップの下の方に塗料が流れ出る仕組みなので、カップを大きく傾けたり逆さまにすると、塗料がガンの方に供給されなくなってしまいます。(しかも塗料が溢れてしまいます。汗 )

このカップは普通の重力式カップと違ってカップが密閉されており、二重構造のカップの内側がスプレー時に発生する負圧によって収縮しながら塗料を押し出す仕組みなので、このようにガンを逆さまにした状態でも問題なく塗料が吐出されます。

クリヤー塗装

カラーベースが上塗りできる状態まで乾燥した後、クリヤーを塗り重ねます。

カラーベース(色塗り)で使用した塗料は硬化剤が入らない1液の塗料で、単独で使用すると耐久性が全くない塗膜になります。(光沢も全くありません。)

こういう1液型の塗料は必ず2液型のクリヤーを上塗りする必要があり、上塗りしたクリヤーの成分と科学反応し、丈夫な塗膜が形成されます。このようにカラーベースとクリヤーベースを組み合わせる塗装システムを2Kタイプと言います。(カラーベースとクリヤーが混ざっていて一度の塗装工程で完成する1Kタイプもあります。)

今回使用したクリヤーはCromaxのハイソリッドクリヤー、3800Sという塗料です。

画像に写っている物が私がメインで使っているクリヤーですが、左から順番に耐擦傷(ハイソリッド)、ミディアムソリッド、ハイソリッド、従来タイプのエアドライクリヤーで、それぞれ特性や仕上がりが違うので、用途に合わせて使い分けています。

ハイソリッド塗料とは?

最近の塗装業界ではハイソリッド(High Solid)タイプという塗料が主流になっていますが、ハイソリッドとは溶剤系塗料において希釈用溶剤の使用量が少ない又は希釈が要らない、環境対策塗料のことを指します。

名前からして塗膜が硬いと思い込みがちですが、希釈率が低かったり希釈しないため、塗料の粘度が高いという意味で、サラサラに希釈して使用する通常の塗料と比べると、ドローっとした感じの塗料になります。もちろん、普通のクリヤーとは塗り方が違いますし、使用するガンも選びます。

特に3800Sは希釈無しの一段と粘度が高いクリヤーで、塗膜の外観(肌)が美しく、強度と耐擦傷性、耐溶剤性が非常に優れている最高級クリヤーです。

クリヤーコートが完了したキャリパーは、強制乾燥前のインターバルを取った後、60℃の乾燥炉でじっくり焼き上げます。

強制乾燥と冷却が完了すると、磨きと付属品の組み立てを経て全工程が完了します。

フロントキャリパーの天面に装着されるプレートは、背景はグロスブラック、Rロゴはシルバー、ロゴのフラッグ部分はキャリパーと同色のラピスブルーで3色塗り分けを施しました。

ホイルースポークの隙間から顔を覗かせるラピスブルーのキャリパー。想像するだけで素敵です! オシャレは足元から、ですね! ^^

 

 

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