ゴルフ6 R・シロッコ R用ブレーキキャリパーのカスタムペイント・流用

今日はシロッコRとゴルフ6 Rに採用されている345mm仕様フロントブレーキキャリパーの塗装加工・流用の事例をご紹介いたします。
345mmのゴルフ6・シロッコ R用ブレーキシステムの流用
ゴルフRシリーズの純正フロントブレーキキャリパーはゴルフ5・6ではローター経345mmのシステムが採用されていましたが、ゴルフ7、ゴルフ7.5 Rでは340mmのローターと一回りコンパクトなキャリパーに変更されました。
僅か直径5mmの差ではありますが、ローターの直径が大きい方が制動力は強くなりますし、キャリパーとローターの体積増加は熱容量の増大にも繋がりますので、既存の345mmブレーキシステムがブレーキング性能は高いと推測されます。
何よりも見た目のインパクトが全く違うので、6までのRから7以降のRに乗り換えられた方は足回りが寂しいと感じられるようです。
ということで、いつもお世話になっているお客様の愛車、ゴルフ7 R カーボンスタイル車両に345mm仕様のブレーキシステムを流用するカスタム計画がスタートしました。
加工材料として仕入れたゴルフ6R・シロッコR用の中古品のフロントキャリパーですが、ご存知の通り純正でブラックの塗装仕上げになっていて、リテーニングスプリング(アンチラトルスプリング)のプレートにシルバーのRロゴが入っています。
このまま取り付けるのも面白くありませんので、このキャリパーの表面を平らに均して半艶の黒に塗り替え、Rロゴも入れ替えることにしました。
キャリパー本体の塗装工程
最初にキャリパーの中に残っているオイルを抜き、こびりついているブレーキダスト等の汚れを落としてから、サンドブラスト処理で更に表面を綺麗に!そして、鋳物の型の凹凸がそのまま残っているキャリパーの表面を平らに削り落としました。
文章にすると短いですが、実はここまでの工程が最も大変で、長い時間が掛かります。ここから先の作業に掛かる時間は下準備に比べれば一瞬、と言っても過言ではありません。^^
いきなり完成に近づいた状態の画像ですが、露出した金属素地の表面にエッチングプライマー処理を施した後、下地塗装を繰り返して鏡面の黒に仕上げました。
一旦グロスブラックで仕上げたキャリパー本体は、乾燥炉での強制乾燥と冷却を合わせて1日間完全硬化させた後、半艶の黒を重ね塗りして光沢を調整します。
今回使用した2液タイプの黒い塗料は、完全硬化すると非常に硬くて丈夫な塗膜を形成しますが、艶を落とすフラットベースを添加すると、強度などの塗膜性能が少し低下する傾向があります。
なので、最初にフラットベース無しの配合で丈夫で分厚い塗膜を形成した後、フラットベース入りの半艶の塗膜は極力薄く上塗りする形で、塗膜性能を犠牲にすること無く、オーナー様のご希望の艶具合を再現しました。
せっかくの光沢感が失われるのが少し勿体ないですが、純正と同じようで良く見ると少し違う、大人のカスタムが今回のコンセプトなので、潔く艶を落としていきます。
リテーニングスプリング(アンチラトルスプリング)の塗装工程
本体の塗装工程と並行して、Rロゴが入るリテーニングスプリングの方も3色塗り分けの工程を進めていきます。
本体と同時にプレートの表面を削り落とし、純正のRロゴを完全に消した後、同じ黒い塗料で下地を作ります。
下地が硬化してから純正のRロゴより一回り大きいRロゴのシルエットを塗り分けました。
Rロゴのフラッグ部分はゴルフ7 Rの専用色、ラピスブルーを塗り分けて、中間クリヤーで全体をコーティングします。
中間クリヤーをサンディングして塗り分けの段差を削り落とし、最後に半艶のトップクリヤーを上塗りして本体と艶の具合を統一させます。
完成と装着イメージ
すべての塗装工程が完了しましたので、焼き上がったキャリパーの構成部品を仮組みしてみました。
うん、なかなか渋いですね!
車体への取り付けは横浜市港北区の川西屋さんで行うことになりましたので、後日オーナー様がお越しくださった時に装着写真を撮らせていただきました。
たった5mm違うだけですが、ゴルフ7のブレーキとはオーラーが違います。
Golf7 R カーボンスタイルに純正採用される19インチのPretoriaホイールと組み合わせると、340mmのローターとキャリパーが少し小さく感じますが、Golf6 R用のブレーキシステムは丁度良いサイズ感ですね。
一見、なにも変わってないように見えますが、ツルツルとした表面仕上げと一回り大きいRロゴのラピスブルーが効いていて、わかる人にはオーナー様の遊び心と拘りが伝わるはずです。
如何でしたか?今回は小物を専門とする当店ならではの塗装技術をフルで活かしたカスタム事例となりました。
単純に塗るだけでは無く、質感や配色に少し拘ることによって、人の目を引くオンリーワンのパーツが出来上がりますので、皆様も是非、個性溢れるカスタムに挑戦していただければと思います。
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